第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

当社グループは平成15年10月1日付の会社分割による建設事業部門の承継後に営業を開始したため、比較の対象となる前連結会計年度の一部の計数は平成15年10月1日から平成16年3月31日までの6カ月間となっている。

 

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業業績の改善が明確化するなかで、設備投資が堅調に推移したものの、期後半に至り、輸出と生産が伸び悩むとともに個人消費も力強さを欠く等、回復に向けた歩調は緩やかなものとなった。

このような情勢下において当社グループは、首都圏へ経営資源を集中し、得意分野である鉄道・住宅・リニューアル工事へ注力したほか、企画提案型・地域密着型営業の展開により新規優良顧客の獲得に努めるとともに、東急沿線地域の再開発を中心とした中長期大型プロジェクトに対する組織横断的な体制を確立して営業力を強化する等、安定的な収益基盤の確保に努めてきた。

当連結会計年度の業績は、売上高が前連結会計年度に比べ117,829百万円増加の304,260百万円となり、利益についても、営業利益が前連結会計年度に比べ2,084百万円増加の10,261百万円、経常利益が前連結会計年度に比べ1,179百万円増加の8,678百万円、当期純利益についても5,201百万円(前連結会計年度は当期純損失38,530百万円)といずれも増加した。

 

@事業の種類別セグメントの業績

(建設事業)

建設業界においては、製造業の積極的な投資意欲を背景に、民間建設投資が増加基調にあったものの、官公庁工事の更なる減少により、市場規模の縮小に歯止めがかからず、受注環境は依然として厳しい状況で終始した。

このような状況の中、完成工事高は297,319百万円と前連結会計年度に比べ114,210百万円(62.4%)の増加となり、営業利益は13,499百万円と前連結会計年度に比べ3,576百万円(36.0%)の増加となった。

 

(不動産事業等)

  不動産事業等売上高は6,941百万円と前連結会計年度に比べ3,619百万円(108.9%)の増加となり、営業利益は384百万円と前連結会計年度に比べ287百万円(297.6%)の増加となった。

 

A所在地別セグメントの業績

 所在地別セグメント情報の記載を省略しているため、記載していない。

 

(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示している。また、セグメント別の記載において、完成工事高及び不動産事業等売上高については「外部顧客に対する売上高」について記載し、営業利益については「消去又は全社」考慮前の金額によっている。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ1,384百万円減少し(△7.4%)、当連結会計年度末には17,267百万円となった。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動による資金収支は、未成工事支出金の増加、仕入債務、未成工事受入金等の減少等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益の計上の他、売上債権の減少等の増加要因により、5,835百万円の資金増加(前連結会計年度比3,279百万円増加)となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金収支は、投資有価証券の取得等があったものの、有形・無形固定資産の売却等により、526百万円の資金増加(前連結会計年度比5,361百万円減少)となった。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金収支は、有利子負債の返済(削減)等により、7,750百万円の資金減少(前連結会計年度比960百万円減少)となった。 

 なお、有利子負債残高は28,340百万円となり、前連結会計年度比で21.5%減少した。

   
2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 受注工事高                              

区分

前連結会計年度

(自 平成15年4月10日

至 平成16年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日)

増減

増減率(%)

建設事業     (百万円)

154,883

300,041

145,157

93.7

 

(2) 売上高                              

区分

前連結会計年度

(自 平成15年4月10日

至 平成16年3月31日)

当連結会計年度

(自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日)

増減

増減率(%)

建設事業     (百万円)

183,108

297,319

114,210

62.4

不動産事業等   (百万円)

3,322

6,941

3,619

108.9

合計       (百万円)

186,431

304,260

117,829

63.2

(注)1 当社グループでは建設事業以外は受注生産を行っていない。なお、一部の建設事業においても、受注生産形態をとっていないものがある。

2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。

3 当社は平成15年10月1日付の会社分割による建設事業部門の承継後に営業を開始した。従って、上記前連結会計年度の計数は平成15年10月1日から平成16年3月31日までの6カ月間となっている。

 

なお、参考のため提出会社単独の事業の状況は次のとおりである。

@ 受注工事高、売上高、繰越工事高及び施工高

 

期別

種類別

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期売上高

(百万円)

次期繰越工事高

当期施工高

(百万円)

手持工事高

(百万円)

うち施工高

(%)

(百万円)

第1期

自 平成15年4月10日

至 平成16年3月31日

建築

182,929

117,388

300,318

132,257

168,061

13.7

22,941

122,230

土木

88,002

33,665

121,667

43,405

78,261

7.6

5,925

40,274

建設事業計

270,932

151,054

421,986

175,663

246,323

11.7

28,866

162,504

不動産事業等

3,332

合計

270,932

151,054

421,986

178,996

246,323

11.7

28,866

162,504

第2期

自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日

建築

168,061

224,071

392,132

220,201

171,931

17.1

29,387

226,647

土木

78,261

69,158

147,420

67,098

80,321

4.5

3,636

64,810

建設事業計

246,323

293,229

539,553

287,300

252,252

13.1

33,024

291,457

不動産事業等

6,956

合計

246,323

293,229

539,553

294,256

252,252

13.1

33,024

291,457

(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減額を含む。従って、当期売上高にもかかる増減額が含まれる。また、前期以前に外貨建で受注したもので、当期中の為替の変動により請負金額に変更のあるものについても同様の処理をしている。

2 次期繰越工事高のうち施工高は、手持工事高の工事進捗部分である。

3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高−前期繰越施工高)に一致する。

4 当社は平成15年10月1日付の会社分割による建設事業部門の承継後に営業を開始したため、第1期の前期繰越工事高の計数は分割承継繰越工事高である。

A 受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別される。

 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

第1期

(自 平成15年4月10日

至 平成16年3月31日)

建築工事

58.8

41.2

100

土木工事

13.8

86.2

100

第2期

(自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日)

建築工事

50.7

49.3

100

土木工事

15.8

84.2

100

(注) 百分比は請負金額比である。

 

B 売上高

 完成工事高

 

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

第1期

(自 平成15年4月10日

至 平成16年3月31日)

建築工事

14,656

117,601

132,257

土木工事

25,780

17,625

43,405

40,436

135,226

175,663

第2期

(自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日)

建築工事

18,567

201,633

220,201

土木工事

35,731

31,367

67,098

54,299

233,000

287,300

 

 不動産事業等売上高

 

期別

区分

金額(百万円)

第1期

(自 平成15年4月10日

至 平成16年3月31日)

販売用土地売却収入

1,887

賃貸事業収入

261

その他の事業収入

1,183

3,332

第2期

(自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日)

販売用土地売却収入

6,060

販売用建物売却収入

49

賃貸事業収入

511

その他の事業収入

335

6,956

 

(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

第1期の完成工事のうち請負金額20億円以上の主なもの

東神開発

東京急行電鉄

新倉健次

鰍tFJ銀行

玉川高島屋ショッピングセンター南館増築工事

 

 

京成電鉄

ファインフルーク公津の杜新築工事

 

 

東急不動産

東京建物

三菱電機ライフサービス

住吉山手コモンズ新築工事

 

 

神戸市

アスタ新長田タワーズコート3番館(スカイマークタワー)

及びアスタくにづか3番館

 

 

三井不動産

東京急行電鉄

東急不動産

日本橋一丁目計画新築工事

 

 

第2期の完成工事のうち請負金額40億円以上の主なもの

ファナック

ファナック新サーボモータ工場新築工事・開発工事

 

 

泣Aール・エム・キャナル

東雲キャナルコート5街区新築工事

 

 

TCプロパティーズ

浜松町スクエア新築工事

 

 

中部国際空港

中部国際空港旅客ターミナルビル新築その1工事

 

 

日本空港ビルデング

東京国際空港(羽田)東旅客ターミナルビル新築工事

 

 

 

2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりである。

第1期 ※1

東京急行電鉄梶@

  21,163百万円

  11.1%  

 

第2期 ※2

東京急行電鉄梶@

  34,466百万円

11.7%  

 

※1 工事進行基準により売上計上した未引渡しの工事は含んでいない。

※2 完成工事高の計上基準に合わせた記載に変更しているため、工事進行基準により売上計上した未引渡しの工事を含んでいる。なお、第1期の当該未引渡しの工事を含んだ上記相手先の売上高及び売上高総額に対する割合は、21,787百万円 12.2%である。

 

 

C 手持工事高(平成17年3月31日現在)

 

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

建築工事

17,499

154,432

171,931

土木工事

48,763

31,558

80,321

66,262

185,990

252,252

(注) 手持工事のうち請負金額35億円以上の主なもの

日本閣観光

日本閣再整備プロジェクト(商業施設・賃貸住宅棟)新築工事

平成19年9月 完成予定

 

 

 

福岡県

藤波ダム建設工事

平成22年3月 完成予定

 

 

 

新潟県

鵜川ダム建設工事

平成30年3月 完成予定

 

 

 

グッドウィル・グループ

コムスンレジデンス馬事公苑新築工事

平成18年2月 完成予定

 

 

 

東京急行電鉄

東急東横線複々線化工事に伴う元住吉第2工区その3工事

平成17年12月 完成予定

 

3 【対処すべき課題】

建設投資の縮小は年々加速度を増しており、業界を取り巻く環境はますます厳しくなっている。当社グループの財務基盤を将来的に安定したものとするためには、安定した受注量を確保し、本業である建設事業の収益力を更に強化して、いかなる経営環境においても常に利益を確保できる強い体質の組織を作り上げていかなければならない。

平成17年度からは、事業環境の変化への対応と平成17年度を初年度とする東急グループの中期3か年経営計画がスタートするのを機に、更なる企業価値の最大化を図るため、(旧)東急建設(現 TCプロパティーズ株式会社)から取り組んできた「新Profit計画」(平成15〜17年度)の最終年度を待たずに、新たな中期3か年経営計画「Value-up3(バリューアップ スリー)計画」(平成17〜19年度)を策定し、取り組んでいる。

「Value-up3計画」の概要は、以下のとおりである。

 

ビジョン  投資家満足・顧客満足・社員満足の3つの指標で斯界の最高水準を実現する

       ※斯界:生活環境づくり

基本方針  エンドユーザー志向・付加価値提供を目指した「Town Value-up Management(タウン バリューアップ マネジメント)」による東急建設ブランドの確立

基本戦略

@ 財務的視点・・・環境の変化を先取りした収益構造改革による企業価値の最大化

A 顧客の視点・・・生活者志向による生活価値(暮らしの中で心から満足を感じる価値)向上への貢献

B 組織・業務プロセスの視点・・・知識創造活動とプロジェクト推進による競争力の強化

C 社員と企業文化の視点・・・・・・・意欲と能力のある社員の創出によるDNA改革

 

◇数値目標(平成19年度達成目標値)

      連結売上高        3,100億円

      連結営業利益         116億円

      連結経常利益         104億円

     ―――――――――――――――――――――――――――

      連結有利子負債残高      190億円未満

      連結営業キャッシュフロー    70億円以上

 

4 【事業等のリスク】

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがある。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

(1)事業等について

@ 建設市場について

建設市場は、製造業の積極的な投資意欲を背景に、民間建設投資が増加基調にあるが、政府建設投資は引き続き減少傾向にあり市場規模の縮小が続いている。当社グループの主要事業である建設事業は、景気動向の影響を比較的受けやすく、想定を上回る経済情勢の変化、建設需要の縮小、建設資材価格及び労務費等の急激な上昇等が生じた場合、業績に影響を与える可能性がある。

 

A 建設業界について

建設市場の縮小傾向に応じて、多すぎる事業者数を適正な水準まで削減することが業界の再生に不可欠と指摘されている。不良債権処理に絡んだ再編・淘汰の動きは一段落したが、政府が策定した「企業・産業再生に関する基本指針」をもとに国土交通省が定めた建設業独自の「再生基準」や導入された減損会計への対応等、建設業界を取り巻く環境は年々厳しさを増している。

受注競争が激化するなかで、信用力で優位に立つ大手ゼネコンといわゆる官公需法(中小企業者を保護するため国が官公需の一定量を確保することを定めた法律)によって優先的に公共工事を受注できる地場ゼネコンの間に挟まれ、営業面で難しい状況も予想され、業績に影響を与える可能性がある。

 

B 東京急行電鉄及び東急グループとの関係について

東京急行電鉄株式会社は、当社が平成15年8月に実施した第三者割当増資に応じていただいたことにより当社の筆頭株主となった。また、当社は同社の持分法適用関連会社である。

営業面では、同社をはじめとする東急グループ各社からの受注が毎年20%前後と堅調に推移しており、今後の事業計画においても同程度の受注を継続的に見込んでいる。

しかしながら、東急グループ各社から今後の工事発注が大幅に減少した場合は業績に影響を与える可能性がある。

 

参考:東急グループからの過去2年の受注実績及び今後の受注計画

 

平成15年度実績

平成16年度実績

平成17年度計画

受注高

2,810億円

2,932億円

2,930億円

内、東急グループからの受注高

670億円

478億円

580億円

構成比率

23.9%

16.3%

19.8%

(注)平成15年度は(旧)東急建設と(新)東急建設の其々の実績を合計して表記

 

(2)工事代金回収について

建設工事の受注に際しては、発注者の与信管理等を実施するほか、可能な限り工事代金を先行して受領する等により、回収遅延等が発生しないよう対処しているが、経済変動、発注者の経営不振等から、請負代金の回収に支障を来たす可能性がある。このようなリスクに対して、当社グループは売掛債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しているが、想定額以上の多額の請負代金が未回収となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

 

(3)工事瑕疵等について

建設工事の施工に際しては、品質保証に関する国際規格(ISO9001)に基づく品質管理を徹底し、品質の確保と瑕疵発生の防止を図っており、過去に施工した物件に瑕疵が発生するリスクに対しては、完成工事の瑕疵修補等の費用に充てるため、過年度の実績率に基づく見込額を計上している。

しかしながら、修補に見込額を大幅に超える費用を要するような瑕疵が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

 

(4)労働者、第三者等の災害について

当社グループは、建設業法、労働関係法令その他関連法規を遵守するとともに、建設工事の施工に際しては、安全衛生環境マネジメントシステムに基づき労働者並びに第三者災害の防止を図っているが、事故の発生等の可能性は否定できず、重大災害等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

 

(5)保有不動産について

当社グループ(当社及び連結子会社)は、前連結会計年度から固定資産の減損会計を早々期適用しているが、前連結会計年度及び当連結会計年度のいずれも減損損失を計上すべき資産はなかった。

しかし、今後の地価動向等により減損損失が発生する可能性がある。

また、販売用不動産についても公正な会計基準に則り評価を行っているが、同様に今後の地価動向等により評価損が発生した場合には業績に影響を与える可能性がある。

 

(6)繰延税金資産について

繰延税金資産の計上に関しては、公正な会計基準に則り厳正に対応している。しかし、今後の受注高、完成工事総利益の確保が困難な状況となり、利益計画より大幅な乖離が発生した場合には繰延税金資産の取崩しが発生するリスクが存在し、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

 

(7)訴訟等について

当社グループは、国内及び海外における事業活動により、訴訟、紛争その他の法的手続等の対象となることがあるが、かかる法的手続等は多くの不確定要素により左右されるため、その結果を予測することは難しい。

このような状況下において、連結財務諸表の注記に偶発債務として記載すべき事項は、現段階においては存在しないが、かかる法的手続等が、その内容・結果により、当社グループの業績に影響を与える可能性がある。

なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他 重要な訴訟事件等」の記載については以下のとおりである。

 

 工事瑕疵を原因とする損害賠償請求(仲裁事件)

当社は、平成15年10月1日に、(旧)東急建設(現 TCプロパティーズ株式会社)が実施した会社分割により建設事業に係わる一切の権利義務を包括承継しているが、会社分割前に施工した工事の発注者より、(旧)東急建設を代表者とする共同企業体が施工した建物(施工建物の新築工事請負代金額約8億50百万円)の瑕疵を原因として、当初の請負代金額を大幅に超える補修費用等の支払を求める仲裁手続(中央建設工事紛争審査会)を受けている。

仲裁手続において、当社は、申立人である発注者より示された書証、資料等の限りでは、申立人の主張するような瑕疵は認められないとしてこれを争い、主張・反論を行っている。

しかしながら、仲裁手続は多くの事実関係、法律関係に左右されるものであることから、現時点において本件手続の結果を予測することは困難である。

従って、仮に本件手続において申立人である発注者の請求が認容された場合には、当社の業績に影響を与える可能性がある。

 

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

 

 特記事項なし。

 

6 【研究開発活動】

[建設事業]

研究開発活動については、受注確保と施工品質向上のため、集合住宅建設技術や都市型鉄道整備技術、環境技術等の建築、土木部門の基幹技術を重点的に実施している。併せて技能工不足、施工の安全性向上のための施工合理化、機械化技術に関する研究開発、既存ストックの長寿化を促進する調査、診断、補修、補強、監視を含む維持管理技術に関する研究開発、土壌、地下水浄化や建設副産物のリサイクル、更には屋上緑化等の環境技術の開発、普及等に取り組んでいる。また、当社は東急グループの中核企業として関連企業のノウハウや機能を効率的に結びつけ、ITによるネットワーク対応マンションをはじめ、ソフト、ハードにわたり企画、技術提案力の向上に努めている。また、当社独自の企画、設計、施工による省エネ型環境共生住宅を竣功させ、これからの住宅のあり方を具体的に提案している。更に、大学、公共研究機関、関連企業等との共同研究を進め、研究開発の効率を高めている。

当連結会計年度における研究開発費は、789百万円である。

 

主な研究開発成果は次のとおりである。

 

(1)ストックマネジメントシステム、土木構造物補修技術の開発

鉄道、トンネル等社会資本ストックの維持管理を支援するために、施設の構造データ、安全・点検データ等の膨大な情報を保存、分析する維持管理システムを開発している。また、トンネル背面の空洞充填、コンクリート構造物の吹付補修や高圧注入止水等の補修技術を開発し、施工指針の策定、鉄道企業との共同研究による営業線での試験施工等施工実績をあげている。

(2)インターロッキング配筋型橋脚

鉄筋コンクリート橋脚の横拘束筋の合理化による施工性及び経済性の向上を図る工法の開発に取り組んでおり、今期は耐震性能実験を(財)沿岸開発技術研究センター委託業務として実施し、実用化の向上を図った。本工法は道路橋示方書にも紹介されており、営業展開を実施している。現在施工中の物件も含め、2件の施工実績を有する。さらに、独立行政法人土木研究所と共同研究を実施しており、用途拡大を図る。

(3)土壌、地下水汚染対策技術

土壌汚染対策法が施行され、当社の営業対象、受注物件でも土壌、地下水汚染に係わる対応が急増している。このため調査、対策の実務体制を整備した。また、調査、対策技術として、ダイオキシンの分解、重金属の不溶化、難揮発性有機化合物の浄化等の土壌汚染対策を主体に、地下水の汚染についても施工実証試験等に取り組み、総合的な土壌・地下水汚染対策技術の開発を進めている。

(4)廃棄物処分場

近年、廃棄物処分場不足が深刻な問題となり、処分場の新設が急務となってきている。受注機会の増加に向け、光ファイバを用いた処分場の漏水検知システムや、様々な処分場計画地に適した遮水構造の開発に取り組んでいる。今期は水平排水材を用いた処分場の安定化促進に関する実証実験を行っている。

(5)高機能住宅実験施設の建設及び実験施設における外断熱、高性能床等の実証実験

当社の主力分野である集合住宅の提案力の向上や他ゼネコンとの差別化を目指し、快適性と省エネ性を同時に推進する住宅の実証実験の場として当社技術研究所に総合実験棟を建設し、迅速なる研究開発と商品化を進めてきた。

その結果、当社開発の外断熱システムを用いた集合住宅の受注(1件)と什器メーカーとの共同開発により、ライフスタイルの変化に対応できる可動家具の商品化が完了し、販売を開始した。

(6)現場コンクリートの品質向上、高強度コンクリート、再生骨材コンクリートに関する研究

電子レンジ法による単位水量の管理の厳格化を進めるとともに、コンクリートマニュアルの改定を行い、現場コンクリートの品質向上を図っている。

高強度コンクリートに関しては、Fc=60Nまで大臣認定を取得しており、Fc=80Nで超高層RC住宅用の構造体実験を完了した。また、Fc=120Nでの大臣認定取得用の実験も完了しており、全ての超高層RC住宅の施工に対応できる体制となっている。

再生骨材コンクリートの構造体(杭、耐圧盤、基礎、基礎梁)利用については、生コン業者と共同で大臣認定を取得し、再生コンクリートを一般的に供給する体制を整えた。

(7)高次診断、改修提案支援システムの開発

建物診断システムを当社ホームページ上に公開し、簡単な建物診断が誰でもできるようにした。また、仕上げタイルの剥離や欠損の枚数が認識できる外壁診断システムを開発し、更に、外壁診断システムと積算システムとの連係を図り、見積業務の精度及び速度向上を進めた改修提案システムも確立させた。今後、調査〜劣化図作成〜数量積算までの一連業務の合理化を図り、受注の拡大を目指している。

(8)雨水貯留浸透施設、緑化技術の実用化

雨水を地下に貯留して有効利用を図るアクアトラップは、技術認定・技術開発賞等を取得し、最近は車両工場の洗浄用水施設等新分野での採用や、実施料収入の増大、建築・土木両分野での施工実績等の成果を上げ、更に市場の拡大を図っている。また、当社の屋上緑化技術は、リサイクル材を用いた生物にやさしい環境技術として国土交通省のグリーン調達品に指定され、今後の市場拡大を図っている。

(9)基礎VE設計システムの開発

杭断面設計システムの改良を進め、地盤の非線形性を考慮した、建物−全杭の一貫計算を可能とした。また、現場施工へのVE提案力向上を目指し社内ネットワーク対応型の計測管理システムの構築を完了し、概算物件及び基本計画のほとんどの物件に適用した。

(10)SI住宅における設備インフィル技術の開発

スケルトン・インフィル住宅に対応する、セントラル24時間換気空調システム、特殊断面形状を採用した排水管における屋内排水システム、巾木内に配線を収めることにより間仕切り変更に柔軟に対応する配線システム等設備インフィル要素技術の開発を進めている。

(11)家庭用燃料電池に関するフィールドテスト

省エネルギー性とCO2排出抑制に優れた発電方式として注目されている燃料電池に関し、最新技術であるLPG燃料における1kWクラスの固体高分子型(PEFC)燃料電池のフィールド試験を実施し、そのコージェネレーションシステムとしての発電効率、給湯能力、騒音・振動等を測定検証し、その性能特性把握を行った。

(12)垂直土砂搬送技術の開発

都市部の地下掘削工事等では、狭隘な地上空間において交通の妨げにならない土砂排出用開口部を確保し、昼夜にわたり安全に土砂を搬出することが求められる。小口径のケーシング内を連続的に移動する連結プレートにより効率的に土砂を搬送する「垂直土砂搬送装置」をメーカーと共同で開発し、地下鉄建設工事に導入した。

(13)鉄道営業線高架化工事用施工機械の開発

都市部で施工中の連続立体交差事業には、急速施工を目的に他社と共同開発した「鉄道ラーメン高架橋のプレキャスト構築工法」が採用されている。作業用地を確保することなく営業線を跨いだ状態で、効率よく安全に基礎杭の施工とプレキャスト部材の架設を可能とした「移動式直接高架施工機」を鉄道会社及びメーカーと共同開発し、工事に導入した。

 

 

 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。

 

[不動産事業等]

 研究開発活動は、特段行われていない。

 

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務等の記載並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り等を行っている。具体的には、固定資産、工事未払金、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金、賞与引当金、退職給付引当金、繰延税金資産、偶発事象や訴訟等であり、これらに関し、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づいた見積り及び判断に対して、継続して評価を行なっている。しかし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。

 

(2)業績報告

@ 当連結会計年度の概況

 「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1)業績」に記載のとおり。

 

A 「新Profit計画」の進捗状況

当社グループは、不採算工事の徹底排除や原価企画活動等の強化策により工事採算を向上させる等、収益構造の改善を進めている。有利子負債についても当連結会計年度末において計画値を4,299百万円上回るペースで削減しており、財務健全性も一段と高まっている。

また、同計画の個別戦略として掲げている首都圏への経営資源集中、得意分野である鉄道工事やマンション・戸建て住宅など住環境創造事業への注力、ロイヤルカスタマーへの営業力集中等、戦略面においても成果を収めている。

 

B 建設事業

当連結会計年度における受注高は300,041百万円(前連結会計年度(6カ月間)は154,883百万円)、完成工事高は297,319百万円(前連結会計年度(6カ月間)は183,108百万円)、「消去又は全社」考慮前営業利益は13,499百万円(前連結会計年度(6カ月間)は9,922百万円)となっている。

なお、建設事業の状況分析については、前事業年度と実質的比較を行う観点から、比較対象である前事業年度の以下の数値は(旧)東急建設の上期個別業績と(新)東急建設の通期(下期)個別業績を合計した「みなし通期」としている。

 

a. 完成工事高(個別)

当事業年度における当社個別の完成工事高は、対前年度比77,389百万円(21.2%)減少の287,300百万円となっている。この大幅な減少の主たる要因は、当社は前事業年度より完成工事高の計上基準として工事進行基準(工期が1年以内の工事については工事完成基準)を採用しており、前事業年度の完成工事高には工事進行基準適用に伴う過年度施工に係わる完成工事高が含まれていたことによるものである。

 

 

 

 

平成17年3月期

平成16年3月期

増減率

 

完成工事高

 

287,300百万円

364,689百万円

△21.2

 

完成工事総利益

 

23,669百万円

24,187百万円

△2.1%

 

 工事分類別では、建築工事においては住宅(マンション、戸建て、社宅等)が対前年度比26.0%の大幅な減少となったものの、建築工事に占める割合は47.0%と高い水準にある。土木工事では道路及び土地造成が大幅に減少し、また、鉄道(軌道、停車場等)も17.4%の減少となっているが、鉄道の土木工事に占める割合は32.1%であり、過去数年においても25〜30%前後と安定した比率を維持している。

 

b. 完成工事総利益率(個別)

 完成工事総利益は対前年度比517百万円減少の23,669百万円であり、完成工事高の大幅な減少(△21.2%)に比べて、小幅な減少(△2.1%)に止まった。これは、当社が取り組んできた不採算工事の徹底排除や、工事原価を低減するためにコストセンターを中心に営業・設計・施工の各部門が横断的に取り組む原価企画活動等の強化策が実を結び、特にマンション工事等の民間建築の工事採算が改善しつつあることによるものである。完成工事総利益率は8.2%となり、対前年度比1.6ポイント増と大幅に改善しているが、「新Profit計画」との対比では、建築工事についてはほぼ計画どおりとなったものの、土木工事が計画に届かず全体で0.9ポイントの未達となった。

 

c. 受注高(個別)

 受注高は293,229百万円で、対前年度比12,135百万円(4.3%)の増加となり堅調に推移した。特に、鉄道工事や工場、医療・福祉施設等の受注増により、民間工事の受注が対前年度比7.1%の増加となっている。

 

(発注者別)

 地方自治体からの受注が対前年度比15.5%増と好転したものの、中央官庁からの受注が同25.4%減少し、官庁工事の受注額合計では同7.0%減少した。一方、東急グループを除く民間受注が同22.1%増加し、民間工事の受注額合計では同7.1%の増加となり、官庁工事の落ち込みを民間工事で補う形となった。なお、従来より受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は毎年20%前後で推移しているが、当事業年度については、発注予定工事の遅れ等により16.3%となった。

 

(工事種別)

 土木・建築の工事種別では、いずれも金額ベースで増加となった。一方、構成比では、建築工事は対前年度比3.6%増となったが、土木工事の増加率の方が大きかったため、わずかながら減少し76.4%となり、土木工事は対前年度比0.5ポイント増の23.6%となった。

 

(工事分類別)

 建築工事ではマンション以外の工事が対前年度比15.3%増となったものの、マンション工事は同12.6%減となった。しかしながら、建築工事全体に占めるマンション工事の割合は35.3%(前事業年度41.2%)で、引き続き大きなシェアを占めている。また、リニューアル工事の受注高は30,929百万円となり、対前年度比18.4%増と高い伸びを示した。

 土木工事については鉄道工事が36.9%を占めており、対前年度比19.4%増と相変わらず高い水準を維持している。これは、その他の関係会社である東京急行電鉄鰍フ鉄道事業に関する設備投資が毎年堅調に推移しているのに加え、他の民間鉄道路線の高架化など都市交通の機能強化を図る事業の推進が寄与しているものであり、結果として官庁土木の減少を補う形になっている。

 

(エリア別)

 首都圏と地方を比較してみると、関東地方1都6県を主なテリトリーとする首都圏本部と鉄道本部の合計は対前年度比3.3%増加しており、同じく首都圏エリアをテリトリーとする住宅本部も同15.0%増と大幅に伸びている。また、地方経済の冷え込みと建設投資の首都圏集中の傾向が続いているなか、地方支店全体についても一部の地域の大幅な増加が全体を押し上げ、同5.3%の増加となった。

 

C 不動産事業

 不動産事業等売上高は6,941百万円(前連結会計年度(6カ月間)は3,322百万円)、「消去又は全社」考慮前営業利益は384百万円(前連結会計年度(6カ月間)は96百万円)となっている。主な内容は、発注者に対する事業用地の斡旋販売等である。

 

D 営業外損益(連結)

 営業外収益については、対前連結会計年度比797百万円の減少となった。その主な要因は、前連結会計年度において計上した持分法による投資利益や連結調整勘定償却額が当連結会計年度においてなかったことによるものである。一方、営業外費用については、持分法による投資損失の計上があったこと等により対前連結会計年度比106百万円の増加となった。これらにより営業外損益は対前連結会計年度比904百万円の悪化となった。

 

E 特別損益(連結)

 特別利益については、固定資産売却益等による220百万円を計上しており、対前連結会計年度比425百万円の減少となった。また、特別損失は前連結会計年度において会社分割等により認識・計上した営業権の一括償却68,115百万円を含む68,984百万円を計上したが、当連結会計年度は一過性の損失はなくなり、投資有価証券売却損等による65百万円を計上した。

 

F 当期純利益(連結)

 当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益8,833百万円に法人税等調整額等を加減した結果、当期純利益5,201百万円となった。なお、前連結会計年度は特別損失に営業権の一括償却等を計上しており、これに係る繰延税金資産の計上等を加減した結果、当期純損失38,530百万円となっている。

 

(3)財政状態の分析

 

@ 資産

 当連結会計年度末の資産合計は、対前連結会計年度比13,652百万円(6.4%)減の200,072百万円となった。

 このうち、流動資産は同7,667百万円(5.2%)減の140,927百万円となった。この主な要因は、完成工事未収入金の回収が進み、「受取手形・完成工事未収入金等」が9,199百万円の減少となったことによるものである。

 なお、「現金預金」が11,722百万円の減少となっているが、これは、資金管理を東急グループ全体で統合管理するキャッシュマネジメントシステムに期末余剰資金10,337百万円を貸し付けたためであり、「短期貸付金」に計上している。

 また、固定資産は同5,985百万円(9.2%)減の59,145百万円となり、この主な要因は、「繰延税金資産」の取崩しや「土地」の売却による減少である。

 

A 負債

 当連結会計年度末の負債合計は、対前連結会計年度比18,872百万円(10.0%)減の169,010百万円となった。

 このうち、流動負債は同10,056百万円(6.9%)減の135,387百万円となった。この主な要因は、「支払手形・工事未払金等」の減少と消費税等の納付等による「その他(未払金)」の減少によるものである。

 また、固定負債は同8,816百万円(20.8%)減の33,623百万円となり、この主な要因は、「長期借入金」の返済によるものである。

 

B 資本

 当連結会計年度末の資本合計は、対前連結会計年度比5,213百万円(20.2%)増の31,041百万円となった。この主な要因は、当期純利益5,201百万円を計上したことによるものである。

 なお、前連結会計年度に計上していた「資本剰余金(資本準備金)」35,401百万円は欠損填補のため全額取崩しており、当連結会計年度末は残高がない。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 

@ キャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は平成15年10月1日付の会社分割による建設事業部門の承継後に営業を開始したため実質6カ月の計数であり、2,556百万円の収入に止まった。当連結会計年度は、工事未払金等の仕入債務の減少や消費税等の納付、未成工事支出金の増加等の支出があったものの、税金等調整前当期純利益の計上、完成工事未収入金の回収による売上債権の減少等の収入があり、5,835百万円の収入となった。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は有価証券・投資有価証券の売却等による収入や有形・無形固定資産の売却による収入等により5,888百万円の収入となったが、当連結会計年度は、有形・無形固定資産の売却による収入1,597百万円等があったものの、投資有価証券の取得による支出1,135百万円等により、対前連結会計年度比5,361百万円減の526百万円の収入に止まった。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は第三者割当増資による株式の発行により得た資金等で借入金の返済を行い、6,790百万円の支出となったが、当連結会計年度は主に営業活動で得た資金で借入金の返済を行い、7,750百万円の支出となった。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末残高の18,652百万円から1,384百万円減少し、17,267百万円となった。

 

A 資金需要

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費の支払や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものである。

 

B 財務政策

当社グループは現在、運転資金については内部資金又は銀行等からの借入による資金調達としているが、連結会計年度末には全て返済しているため、連結貸借対照表に記載の短期借入金は全て返済期限が1年以内の長期借入金からの振替分である。

長期資金については金融機関13社によるシンジケートローンによっており、長期資金運営の安定性を確保している。また、平成17年3月31日現在の長期借入金残高は、「新Profit計画」値を4,299百万円上回る削減により28,340百万円(短期借入金として表示している返済期限1年以内の長期借入金6,000百万円を含む)である。

なお、当社グループはキャッシュ・フロー経営のさらなる推進を図り、計画に沿った長期借入金残高の削減を進めるとともに、より健全な財務体質の実現を目指す。

 

(5)戦略的現状と見通し

建設投資の縮小は年々加速度を増しており、業界を取り巻く環境はますます厳しくなっている。当社グループの財務基盤を将来的に安定したものとするためには、安定した受注量を確保し、本業である建設事業の収益力をさらに強化して、いかなる経営環境においても常に利益を確保できる強い体質の組織を作り上げていかなければならない。

このような情勢下において当社グループは、「第2 事業の状況 3 対処すべき課題」に記載の「Value-up3計画」の基本方針に基づき、地域営業の強化を図り、生活者の視点で商店街活性化の提案や老朽化マンションの建替え、建物のリニューアルやコンバージョン等、街全体の価値向上に貢献する“街づくり”の会社として新たな企業像の確立を目指すとともに、渋谷、二子玉川、たまプラーザ等の東急沿線地域の再開発を中心とした中長期大型プロジェクトに対して組織横断的な営業体制を確立し、積極的な参画を図る。