「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示している。また、セグメント別の記載において、完成工事高及び不動産事業等売上高については「外部顧客に対する売上高」について記載し、営業利益については「消去又は全社」考慮前の金額によっている。
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、原油価格の高騰がもたらす影響が懸念されたが、好調な企業業績を背景に設備投資が堅調に推移したほか、雇用・所得環境に明るい兆しがみられたことから個人消費も底堅い動きを示すなど、緩やかな回復基調を辿ることとなった。
このような情勢下において当社グループは、当連結会計年度を初年度とする中期3か年経営計画「Value-up3計画」に基づき、組織横断的な営業体制であるプロジェクトプロデューサー制度の推進などにより受注機会の増大を目指すとともに、原価企画活動をはじめとする収益力の向上に取り組み、また、幅広い顧客ニーズに対してより柔軟かつ機動的に対処すべくCSセンターを新設するなど、経営努力を重ねてきた。
当中間連結会計期間の業績は、売上高124,889百万円(前年同期比7.7%減)、営業利益2,875百万円(前年同期比10.1%増)、経常損失は持分法による投資損失3,282百万円の計上等により727百万円(前年同期は経常利益1,577百万円)、中間純損失1,042百万円(前年同期は中間純利益1,240百万円)となった。
@ 事業の種類別セグメント
(建設事業)
建設業界においては、民間建設投資において生産施設や分譲住宅に加え、商業施設にも堅調な動きがみられたほか、抑制姿勢が続く公共投資も補正予算による一時的な歯止めがかかったものの、市場規模の中長期的な縮小傾向から、受注競争は引き続き厳しい状況で終始した。
このような状況の中、受注高は民間工事が増加したものの官公庁工事が減少したことにより138,922百万円(前年同期比0.6%減)となり、完成工事高は建築工事が減少し122,207百万円(前年同期比7.9%減)、営業利益は工事採算が若干改善したものの完成工事高の減少により3,625百万円(前年同期比11.0%減)となった。
(不動産事業等)
不動産事業等売上高は2,681百万円(前年同期比1.0%増)となり、営業利益は738百万円(前年同期比249.7%増)となった。
A 所在地別セグメント
所在地別セグメント情報の記載を省略しているため、記載していない。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において営業活動による資金収支は、売上債権の減少、未成工事受入金等の増加などの増加要因があったものの、仕入債務の減少、未成工事支出金の増加などの減少要因により、4,861百万円の資金減少(前年同期は1,566百万円の資金減少)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において投資活動による資金収支は、関係会社株式の取得による支出などにより、4,159百万円の資金減少(前年同期は238百万円の資金減少)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において財務活動による資金収支は、借入金が若干増加したものの、優先株式への配当金の支払などにより微減(前年同期は3,245百万円の資金減少)となった。なお、有利子負債残高は前連結会計年度末と比べ1.3%増加し、28,704百万円となった。
(1) 受注実績
区分 |
前中間連結会計期間 (自 平成16年4月1日 至 平成16年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 平成17年4月1日 至 平成17年9月30日) |
増減 |
増減率(%) |
建設事業 (百万円) |
139,766 |
138,922 |
△844 |
△0.6 |
(2) 売上実績
区分 |
前中間連結会計期間 (自 平成16年4月1日 至 平成16年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 平成17年4月1日 至 平成17年9月30日) |
増減 |
増減率(%) |
建設事業 (百万円) |
132,657 |
122,207 |
△10,449 |
△7.9 |
不動産事業等 (百万円) |
2,654 |
2,681 |
26 |
1.0 |
合計 (百万円) |
135,312 |
124,889 |
△10,422 |
△7.7 |
(注)1 当社グループでは建設事業以外は受注生産を行っていない。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
〔参考〕提出会社単独の事業の状況
期別 |
種類別 |
期首繰越 工事高 (百万円) |
期中受注 工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
期中 売上高 (百万円) |
期末繰越工事高 |
期中 施工高 (百万円) |
||
手持工事高 (百万円) |
うち施工高 |
||||||||
(%) |
(百万円) |
||||||||
前上半期 自 平成16年4月1日 至 平成16年9月30日 |
建築 |
168,061 |
97,456 |
265,517 |
101,803 |
163,713 |
22.3 |
36,490 |
115,352 |
土木 |
78,261 |
39,110 |
117,372 |
26,647 |
90,725 |
7.1 |
6,404 |
27,126 |
|
建設事業計 |
246,323 |
136,566 |
382,890 |
128,451 |
254,438 |
16.9 |
42,894 |
142,479 |
|
不動産事業等 |
― |
― |
― |
2,661 |
― |
― |
― |
― |
|
合計 |
246,323 |
136,566 |
382,890 |
131,112 |
254,438 |
16.9 |
42,894 |
142,479 |
|
当上半期 自 平成17年4月1日 至 平成17年9月30日 |
建築 |
171,931 |
100,932 |
272,863 |
89,212 |
183,651 |
22.4 |
41,176 |
101,000 |
土木 |
80,321 |
35,467 |
115,788 |
29,432 |
86,355 |
5.8 |
5,003 |
30,799 |
|
建設事業計 |
252,252 |
136,399 |
388,652 |
118,644 |
270,007 |
17.1 |
46,180 |
131,800 |
|
不動産事業等 |
― |
― |
― |
2,689 |
― |
― |
― |
― |
|
合計 |
252,252 |
136,399 |
388,652 |
121,334 |
270,007 |
17.1 |
46,180 |
131,800 |
|
前期 自 平成16年4月1日 至 平成17年3月31日 |
建築 |
168,061 |
224,071 |
392,132 |
220,201 |
171,931 |
17.1 |
29,387 |
226,647 |
土木 |
78,261 |
69,158 |
147,420 |
67,098 |
80,321 |
4.5 |
3,636 |
64,810 |
|
建設事業計 |
246,323 |
293,229 |
539,553 |
287,300 |
252,252 |
13.1 |
33,024 |
291,457 |
|
不動産事業等 |
― |
― |
― |
6,956 |
― |
― |
― |
― |
|
合計 |
246,323 |
293,229 |
539,553 |
294,256 |
252,252 |
13.1 |
33,024 |
291,457 |
(注) 1 前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当上半期受注工事高にその増減額を含む。従って、当上半期売上高にもかかる増減額が含まれる。また、前期以前に外貨建で受注したもので、当上半期中の為替の変動により請負金額に変更のあるものについても同様の処理をしている。
2 期末繰越工事高のうち施工高は、手持工事高の工事進捗部分である。
3 期中施工高は(期中売上高+期末繰越施工高−前期末繰越施工高)に一致する。
A 売上高
期別 |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
前上半期 (自 平成16年4月1日 至 平成16年9月30日) |
建築工事 |
10,174 |
91,629 |
101,803 |
土木工事 |
15,311 |
11,336 |
26,647 |
|
計 |
25,485 |
102,965 |
128,451 |
|
当上半期 (自 平成17年4月1日 至 平成17年9月30日) |
建築工事 |
8,269 |
80,942 |
89,212 |
土木工事 |
14,661 |
14,771 |
29,432 |
|
計 |
22,930 |
95,714 |
118,644 |
期別 |
区分 |
金額(百万円) |
前上半期 (自 平成16年4月1日 至 平成16年9月30日) |
販売用土地売却収入 |
2,292 |
販売用建物売却収入 |
49 |
|
賃貸事業収入 |
279 |
|
その他の事業収入 |
40 |
|
計 |
2,661 |
|
当上半期 (自 平成17年4月1日 至 平成17年9月30日) |
販売用土地売却収入 |
2,149 |
販売用建物売却収入 |
− |
|
賃貸事業収入 |
237 |
|
その他の事業収入 |
303 |
|
計 |
2,689 |
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前上半期の完成工事のうち請負金額25億円以上の主なもの
TCプロパティーズ |
浜松町スクエア新築工事 |
中部国際空港 |
中部国際空港旅客ターミナルビル新築工事 |
日本空港ビルデング |
東京国際空港(羽田)東旅客ターミナルビル新築工事 |
潟jトリ |
ニトリ関西DC新築工事 |
東京急行電鉄 |
ドレッセ目黒インプレスタワー新築工事 |
当上半期の完成工事のうち請負金額15億円以上の主なもの
諏訪町住宅マンション建替組合 |
アトラス諏訪町レジデンス新築工事 |
東急不動産 三菱商事 |
マジェスティコート小石川・播磨坂新築工事 |
学校法人日本大学 |
日本大学高等学校・中学校キャンパス再開発に伴う校舎新築工事 |
日本道路公団 |
鳥取自動車道用瀬第一トンネル工事 |
社会福祉法人門真晋栄福祉会 |
特別養護老人ホーム宝塚ちどり新築工事 |
2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりである。
前上半期
東京急行電鉄 |
14,454百万円 |
11.0% |
当上半期
東京急行電鉄 |
15,123百万円 |
12.5% |
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
建築工事 |
13,503 |
170,148 |
183,651 |
土木工事 |
49,382 |
36,972 |
86,355 |
計 |
62,886 |
207,121 |
270,007 |
(注) 手持工事のうち請負金額40億円以上の主なもの
日本閣観光 |
日本閣再整備プロジェクト(商業施設・賃貸住宅棟)新築工事 |
平成19年9月 完成予定 |
福岡県 |
藤波ダム建設工事 |
平成22年3月 完成予定 |
キヤノン |
キヤノン目黒新研修所建設工事 |
平成18年3月 完成予定 |
新潟県 |
鵜川ダム建設工事 |
平成30年3月 完成予定 |
グッドウィル・グループ |
コムスンレジデンス馬事公苑新築工事 |
平成18年5月 完成予定 |
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更及び新たに生じた課題はない。
なお、当社グループでは、現在取り組んでいる中期3か年経営計画「Value-up3計画」(平成17〜19年度)における数値目標の早期達成へ向け、当社グループ全社を挙げて邁進する所存である。
◇数値目標(平成19年度達成目標値)
連結売上高 3,100億円
連結営業利益 116億円
連結経常利益 104億円
―――――――――――――――――――――――――――
連結有利子負債残高 190億円未満
連結営業キャッシュフロー 70億円以上
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等はない。
[建設事業]
研究開発活動については、受注確保と施工品質向上のため、集合住宅建設技術や都市型鉄道整備技術、環境技術等の建築、土木部門の基幹技術を重点的に実施している。併せて技能工不足、施工の安全性向上のための施工合理化、機械化技術に関する研究開発、既存ストックの長寿化を促進する調査、診断、補修、補強、監視を含む維持管理技術に関する研究開発、土壌、地下水浄化や建設副産物のリサイクル、更には屋上緑化等の環境技術の開発、普及等に取り組んでいる。また、当社は東急グループの中核企業として関連企業のノウハウや機能を効率的に結びつけ、ITによるネットワーク対応マンションをはじめ、ソフト、ハードにわたり企画、技術提案力の向上に努めている。また、当社独自の企画、設計、施工による省エネ型環境共生住宅を竣工させ、これからの住宅のあり方を具体的に提案している。更に、大学、公共研究機関、関連企業等との共同研究を進め、研究開発の効率を高めている。
当中間連結会計期間における研究開発費は、332百万円である。
主な研究開発成果は次のとおりである。
(1) 補修技術の高度化
ジョッツ・クリート工法(当社を含め共同開発した鉄道高架橋や道路高架橋等の断面修復工法)については、京浜急行電鉄株式会社や東京地下鉄株式会社で適用が予定されており、普及へ向けた調整、資料整備等を行った。実験では吹付け効率を向上するための方策を検証するとともに、他構造物へ適用するための基礎的確認を行った。
また、東京大学生産技術研究所他民間13社の共同研究「補修による再劣化機構に関する研究」に継続して参画し、補修技術を選択する際に有効となる知見を得た。
(2) 土壌、地下水汚染対策技術の開発及び普及
土壌汚染対策法が施行され、当社の営業物件や受注物件でも土壌、地下水汚染に係わる調査や浄化工事が急速に増加してきている。そのような状況の下、施工実績を蓄積するとともに、揮発性有機化合物(VOC)による汚染土壌浄化技術−SOLVOC工法や、複合汚染水浄化技術である光触媒水処理技術−を開発・実用化してきた。現在、ダイオキシン類分解、VOC原位置浄化、油分分解、重金属抽出浄化等の土壌汚染対策を主体に、総合的な土壌・地下水汚染対策技術の開発を進めており、順次、実サイトでの実証施工を予定している。
(3)インターロッキング型配筋橋脚の普及
インターロッキング型配筋橋脚(注)の普及を目的として、独立行政法人土木研究所との共同研究成果を取り纏め、報告書を作成した。
また、この共同研究において、設計・施工マニュアルを作成中である。
一方、TRiC工法として財団法人国土技術研究センターから技術審査証明を取得し、これを契機に更なる普及を目指して大成建設株式会社とインターロッキング橋脚研究会の設立準備を行ってきた。今後は、この研究会に、前田建設工業株式会社、戸田建設株式会社を含めた4社で本年12月に設立総会を行う予定である。
(注)従来のコンクリート橋脚の配筋を合理化することで施工性及び経済性の向上を図ることができる橋脚構築工法
(4)ヒートアイランド対策技術の開発
近年都市部の気温が周辺地域よりも高くなる、ヒートアイランド化が顕著になる中、緑化や保水性材料を舗装等に活用したヒートアイランド対策技術のニーズが高まっている。そのような状況の下、当社が保有する雨水貯留関連技術(「アクアプラ工法」や「テラポンド工法」)を応用し、「雨水活用型保水性舗装」や「緑化駐車場」の実証実験を世紀東急工業株式会社と協力して行っている。
(5)高機能住宅実験施設の建設及び実験施設における外断熱、高性能床等の実証実験
当社の主力分野である集合住宅の提案力の向上や他ゼネコンとの差別化を目指し、快適性と省エネ性を同時に満足する住宅の実証実験の場として当社技術研究所に総合実験棟を建設し、迅速なる研究開発と商品化を進めてきた。平成17年度中には当社開発の外断熱システムを用いた集合住宅が竣工予定である。本技術開発による当社開発の外断熱省エネマンションの普及に向け順調に滑り出したといえる。また、什器メーカーとの共同開発によるライフスタイルの変化に対応できる可動家具も受注を開始した。
(6)高次診断、改修提案支援システムの開発
建物診断システムを当社ホームページ上に公開し、簡単な建物診断が誰でもできるようにした。
また、仕上げタイルの剥離や欠損の枚数が認識できる外壁診断システムを開発し、今後、受注の拡大を目指している。更に、外壁診断システムと積算システムとの連係を図り、見積業務の精度及び速度向上を進めた改修提案システムも確立させた。
(7)スラブ補強技術の開発
コンバージョン・リニューアル技術として、施工が簡易なスラブ補強技術を開発した。開発した補強装置は折り畳みが可能でエレベータを利用して持ち運びができ、可搬性に優れている。老朽化したスラブの補強や用途変更による床荷重の増大に対応するスラブ補強技術としてその普及を図っている。
(8)雨水貯留浸透施設、緑化技術の実用化
雨水を地下に貯留して有効利用を図るアクアトラップは、技術認定及び技術開発賞等を取得し、最近は車両工場の洗浄用水施設等、新分野での採用、実施料収入の増大等の実績をあげており、更に市場の拡大を図っている。また、当社の屋上緑化技術は、リサイクル材を用いた生物にやさしい環境技術として国土交通省のグリーン調達品に指定され、今後の市場拡大を図っている。
(9)近接施工管理システムの確立
鉄道、道路、建物に隣接して行う工事においては、工事による地盤変位や接触による安全及び機能上の障害を予防する技術が必要である。当社では山止め計画と自動計測管理を組み合わせ、工事の安全管理をモニタリングする近接施工管理システムを確立し、多数の物件に適用している。更に種々の複雑な条件に対応するためにソフトの高度化と計測精度の向上を常に図っている。
(10)SI住宅における設備インフィル技術の開発
スケルトン・インフィル住宅に対応する、セントラル24時間換気空調システム、特殊断面形状を採用した排水管による屋内排水システム、巾木内に配線を収めることにより間仕切り変更に柔軟に対応する配線システム、同軸ケーブル接続を必要としない無線TV配信システム等設備インフィル要素技術の開発を進めている。
(11)家庭用エネルギーシステムに関する評価技術の開発
省エネルギー性と二酸化炭素排出抑制に優れた発電方式として注目されている燃料電池を始めとするコージェネレーションシステム及び未利用エネルギーの有効利用についてシステム効率及びその性能特性把握を行なうための測定検証、検討作業を進めている。
(12)煙突除染技術の開発
既に開発した「煙突内壁レンガ解体装置」に加え、高圧水と回転ブラシ併用による「煙突内筒洗浄装置」を新たに開発し、煙突に付着したダイオキシン類除染作業の無人化技術を拡充し、適用範囲を広げた。当中間連結会計期間に「煙突内筒洗浄装置」を大型ごみ焼却施設解体工事及び公衆浴場煙突解体工事に適用した。
(13)高層建築工事用外部足場の開発
高層のビル・マンション建設用に、大スパン同時クライミングを可能にした「新型セルフクライミング式外部足場」を開発した。マンション建設工事で実証実験を行い、外部作業の安全性向上と効率化を実現した。
なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。
[不動産事業等]
研究開発活動は、特段行われていない。