株主・投資家の皆様には、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
第67期第2四半期のご報告をお届けするにあたり、状況報告に関しては以下のインタビューに代えさせていただきますので、ご一読いただければ幸いと存じます。
上期の売上高は、前年同期比6.8%増の142億62百万円となり、営業利益は48.3%増の5億2百万円、経常利益は47.3% 増の4億34百万円となりました。四半期純利益は、税金費用の増加や関係会社株式の売却に伴う少数株主利益の増加等により19.4%増の3億18百万円となりました。中国やアジアにおいて自動車向けの売上高が増加したほか、英国において医療機器向けの売上が好調でした。
※関連リンク
決算説明会資料
国内に関しては売上が堅調に推移しておりますが、消費増税による需要低迷の影響もございまして、上期のお客様の発注は当初予想したよりも下振れしました。下期の売上については、ゆるやかな伸びを予想しています。今後、船橋電子の技術の派生効果、当社主力製品のインサートカラーの伸びに期待できるものがあり、現在積極的に製品展開を行っております。
海外の売上につきましては、円安効果もあり、ここ二年で大きく伸びています。事業自体も英国と中国南部の東莞工場を中心に堅調に伸びています。
一方、国内の大手取引先には海外で苦戦しているところもあり、その影響により予算達成率が下がっている地域もあります。下期にどのように新たな案件を取込むかが、重要な課題となっています。
自動車市場向けは、売上高構成比が昨年度の36.9%から今期は40%近くまで増えそうです。インサートカラーや船橋電子の深絞り技術を活用した案件が多数出てきています。また下期に向けて活動している新規案件も自動車関連が多くなっています。自動車部品工場の新規立ち上げに伴い自動車部品メーカーでの認知度も上がり、今後売上増加に拍車がかかってくると考えています。
新設の自動車部品工場に関しては、あまり人手をかけずに自動製造する「スマートファクトリー」のような工場を目指しています。そのため製造ラインの効率性を意識した動線作りなどに、かなり時間をかけて手を加えました。現在、工事の開始が想定より3ヶ月ほど遅れていますが、来年10月には完成予定です。(注:トピック参照)
重点市場として、「自動車」はもちろん、その他「住宅設備」と「インフラ」に手応えを感じています。住設に関しては、例えば新築のマンションの中で、カーテンレール・窓のサッシなどで当社のナット緩み止め商品であるタモントを使用していただけるよう、お客様と共同特許を取りながら進めている案件があります。インフラに関しては、鉄道会社でタモントと他社製品との耐久性比較テストを行いまして、その結果、当社の製品が非常に高い評価をいただくことができました。従って、将来的に鉄道のレール補強に当社の製品が使われる可能性があります。インフラでの使用実績ができれば、タモントでカバーできる市場が広がる可能性があると考えています。これを機に国内だけでなく、欧州、米国、中国の鉄道向けの事業展開を計画しています。
常州工場については、システムに無駄な点が多かったため軽微な赤字が続いていましたが、ここにきてようやく黒字化しました。2月に当社役員を送り込み、6月いっぱいまでほぼ常駐させた結果、事業がスムーズにまわるようになりました。常州工場が落ち着いてきましたので、次はインドへの事業展開を推進していくことを考えています。現在シンガポール子会社で売上を伸ばしているのはインド向けのもので、今後伸びしろが高い地域だと考えています。
これまで各拠点の営業部門のトップと製造部門のトップ、合わせて12人程が集まった会議を計3回行ってきましたが、建設的な話し合いに欠けるところがありました。
今回からは、オペレーション部門のトップも会議に加え、「本社から見る海外現地オペレーション」と「現地工場から見る本社」の視点を導入し、第三者の視点を意図的に取り入れて検討、議論できるようにテーマを定めました。各々があるべき姿と現状との溝を理解し、そこを埋める具体的な作業について実行施策を考えてもらいました。参加メンバーからの評価もよく、素晴らしい会議になったと思っています。グループの力を最大限活かすには、お互いが正面から向き合い、良い情報も悪い情報も共有してコミュニケーションを良くする、それが大切だと考えています。
世の中の部品でばねほど難しいものは無いと思っております。ばねは「動きのある製品」で、通常の金属製品は「動かない製品」です。その為、ばねという生き物のように動くものは、型だけ造って完成ではなく、その用途によって動きの範囲をミクロ単位で調整しなければいけません。それをどのような金型から生産し、いかに調整するかが非常に難しいと考えています。しかし、高難度で高い技術力が必要だからこそ達成感が大きいとも言えます。
また、私がかねてから掲げている「美しい作品の追究」のテーマですが、その根底には「良品率」と「納期遵守率」が不可欠であると考えております。品質の高い製品を提供し続けることで、お客様にご満足いただくことが可能になります。例えば、あるお取引先様では二社からの購買が基本なのですが、工場現場の方はアドバネクスの「ばね」しか使わないことから、結局他社比較せずに当社製品を利用し続けていただいています。この事例に加えて、当社においては、ここ1年間不良品が一度も出ていません。これは製造業として非常に胸を張れることだと考えております。こういった成果に「美しい作品の追究」という理念の実現ができているように感じています。