アドバネクスヨーロッパ紹介

アドバネクスヨーロッパ(Advanex Europe Ltd.)の本社・工場は、英国の首都ロンドンから北に向かって車で2 時間ほどの距離にあるノッティンガム州のサウスウェルという町にあります。町の人口は約7,000 人、中心部に位置するサウスウェル大聖堂のある町として有名です。サウスウェルから車で1時間ほどの距離にある町ビルボローにも工場があり、従業員数はそれぞれ90名弱、合計174名が働いています。

会社の設立は1988年。当社が当時世界の90%の生産シェアを占めたフロッピーディスク用シャッターの欧州向け生産拠点として100%出資で設立されました。現社長のポール・クリフォードは、技術者出身で、1991年に社長に就任しました。1993年にビルボローの有力ばねメーカーを買収しましたが、これが現在のビルボロー工場です。


サウスウェル本社・向上、ビルボロー工場


同社の昨年度(2014 年3 月期)の売上高は約16億円、営業利益は約1億4千万円でした。営業利益率は約9%であり、グループの中で最も収益性の高い子会社といえます。現在の主力製品は、医療機器用の精密ばね製品および航空機産業や自動車市場向けの締結用補強部品であるタングレス・コイルスレッドです。それぞれ売上の43%と40%を占めており、同社の高収益力を支える事業となっています。


クリフォード社長に聞きました


クリフォード社長医薬品ビジネスに関わっていくためには、長い年月にわたる経験と信頼が必要とされます。当社の医薬品事業は、1997 年から始まりましたが、1999 年にヨーロッパの大手医薬品メーカーから喘息薬の定量噴霧式吸引器に使われる精密ばねを受注できたことから、その後大きく成長しました。定量噴霧式吸引器では、薬の一回の分量を正確に計量する必要があり、吸引器の計量カウンターに使われる精密ばねの開発依頼が1998年に当社にきました。他社ではメーカーの基準に合ったばねが出来ませんでしたが、日本の柏崎工場でばねの開発が行なわれ、見事受注に成功しました。日本から製造用の機械3 台を英国に移送し、生産を開始しました。現在では、他の医薬品メーカーの吸引器向けの生産も含めて3 種類の精密ばね、各6,000 万個(年間)の生産を当社の2 工場で行なっています。生産量は毎年増加していく見込みです。当社では、定量噴霧式吸引器以外にも、個人が自宅で使用する五十肩治療薬や血糖値低下薬の自動注射ペンに使われる精密ばねも生産しています。


現在グループで一番大きな売上シェアを持つのは、自動車向けの部品です。電装関係やエンジン等のパワートレイン周り、制御システム等からドアやアンテナにいたるまで、様々なところで当社の精密ばね製品、樹脂ユニット製品が使われています。特にインサートカラーという締結用補強部品は、年々売上が伸びている重点製品です。


生産ライン、製品


もう一つの主力製品であるタングレス・コイルスレッドについて教えてください。


タングレス・コイルスレッドは、ねじ穴の補強部品で主に航空機や自動車で使用されています。当社は、1995 年に製造機を日本の福島工場(2009 年閉鎖)から移送し、サウスウェルで生産を開始しました。各種のサイズを取り揃え、規格品として主に米国に輸出する他、欧州各地、日本やアジアにも輸出しています。


タングレス・コイルスレッド、本社営業部門


どのような経営を心がけていますか?


当社はサウスウェルで最大の企業であり、2012年には、新聞社ノッティンガムポストが選ぶノッティンガム州ベストカンパニー賞を授賞しました。地元の工業系の大学の優秀な学生にアドバネクス賞を贈呈するなど、地域に密着した経営を心がけています。今後は、医療機器向けの売上を伸ばす他、自動車市場向けについても販売強化を図っていく計画です。


サウスウェルメインストリート