株主・投資家の皆様へ

代表取締役会長兼社長 柴野 恒雄

Q1. 2020年3月期第2四半期の業績を振り返りまして
Q1 どのように評価されますか?

米中貿易摩擦やイギリスのEU 離脱、日韓関係の悪化などマクロ環境は良くありませんでしたが売上は横ばいながらも営業利益は前年同期を上回りました。 環境が悪化する中、国内外の社員達のがんばりもあり、まずまずの結果が出せたと思っています。 一方、円高による為替差損が発生しましたので、経常利益と四半期純利益は前年同期を下回る結果となりました。 下期はさらにマクロ環境が悪化するとの見通しがあります。 気を引き締めてより一層精進いたします。

Q2. 米中貿易摩擦の影響が世界中に広まっていますが、Q2 当社はいかがでしょうか?

当社の中国工場4拠点(大連、常州、上海、東莞)は米国との取引は殆どありませんが、貿易摩擦を起因とする中国国内の景気低迷の影響を受けましたので、中国の売上は前年同期比減となりました。 また、日本や他の地域でも中国市場低迷の影響を受けました。 関税回避のため多くの顧客が中国から東南アジアに生産移管しましたが、当社はそれをタイ工場やベトナム工場でカバーできましたので、連結では影響を軽減できました。

Q3. 以前、新工場の黒字化が収益改善のポイントと伺いましたが、メキシコや埼玉、インドネシア工場の現状はいかがでしょうか?

メキシコ工場は多くのプロジェクトが決まっており上期も日本からたくさんの機械や金型を送り込みました。 上期は赤字でしたが下期はプロジェクトが本格化し単月ベースでは黒字化できる見通しです。 来期、再来期も今準備している大型案件が始まりますので今後が楽しみです。
埼玉工場は6月に増築工事が完了し、生産スペースとしては2倍の規模になりました。 増築後は少し方針を変更し、急いで空きスペースを埋めるのではなく、当社の要素技術が活かせる付加価値の高いもの、また、投資回収率の良いものにフォーカスして受注しています。 自動車向けの引き合いは旺盛ですので、この受注方針でも稼働率と投資回収率の向上を両立できると考えています。
インドネシア工場は上期に黒字化しました。 M&A により取得して以来、当社の品質管理や生産性向上のノウハウを投入してきましたので、その成果がようやく数字に現れました。

Q4. 今年度稼働したチェコ工場とインド工場の状況はいかがでしょうか?

チェコ工場はイギリスがどのような形で EU を離脱しても対応できるように準備を進めています。 欧州では ISO9001 などの品質マネジメント規格の審査が厳格で、想定していたよりも取得に時間がかかっていることなどから売上開始スケジュールは当初から半年ほど遅れています。 一方、医療向けの収益性の高いプロジェクトも進んでいますので非常に楽しみです。
インド工場は今期営業を開始し生産スタートしています。 顧客によるインド工場の認定に想定以上の時間を要しており、自動車向けに若干の遅れが生じていますがほぼ計画通りです。

Q5. 工場新設などの拡大施策が一段落しましたが、Q5 以降は何に注力されますか?

2018年6月から取締役メンバーが大きく変わり、プロジェクト毎に投資回収率や実現性、生産終了後の見通しまでをよりきびしく確認するようになりました。 少なくとも2023年3月期までの中期経営計画期間中は新工場の新設はせず、付加価値の高いものや、次世代自動車、医療、インフラ向けなどテーマ性のあるものに絞って投資します。

Q6. 自動車業界はCASE(繋がる、自動運転、共有、電動化)に向けて開発が進んでいるようですが、当社においてはいかがでしょうか?

EV や HEV の電動駆動やカメラ、センサーなど自動運転関連が活況を呈しています。 CASE 関連はお客様と一緒になって開発しますので、高い付加価値も見込めます。 埼玉工場にクリーンルームを設置したのはそれらの次世代自動車向けを取り込むことが目的です。 一方、想定よりも EV 普及が遅れる可能性もありますので、点火プラグやバルブなどガソリン車向けも既存設備を有効活用し投資を抑えながら積極的に受注しています。

Q7. 従来主力市場だったOA 機器は現在どのような状況でしょうか?

5年前、OA 機器向けは連結売上の 30% を占めていましたが、直近では 15% を切るまで落ち込みました。 タブレット端末の普及でペーパーレスが進んでいることに加え、複写機自体に金属部品が多く使われなくなったことが要因です。 一方、中国回避やコストダウンを目的に各社の生産拠点がタイやベトナムに移ってきていますので、ある程度 OA 機器向けの落ち込みを両国の工場でカバーできています。 また、生産数減少により空いた OA 機器向けの機械を自動車向けに改造することで新規投資、キャッシュアウトを抑えています。

Q8. 今期の見通しについて教えてください

米中貿易摩擦やイギリスの EU 離脱の影響が一段と不透明となっていますので、為替面も含めて楽観視できない状況が続くと思います。 当社はグループ全体をあげて経費削減の手を打つなど早めに収益改善対策に取り組んでいます。

Q9. 株主の皆様にメッセージをお願いします

当社はここ4年間でメキシコ、インドネシア、チェコ、インドに新工場を開設し、11 カ国に跨った生産体制を築きました。 それによる多額の投資で直近は財務バランスを悪化させていますが多極化によりリスクが分散され、顧客の生産地変更や世界情勢の変化に柔軟に対応できるようになりました。 また、各拠点をネットワークで結び顧客情報などを共有することで成長の機会をより捉えやすくなりました。 業績面ではご心配をおかけしていますが長期的な成長と収益拡大の礎を築きましたので、今後に期待いただきたくよろしくお願いいたします。