株主・投資家の皆様へ

代表取締役会長兼社長 柴野 恒雄


 株主の皆様には、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
 第66期のご報告をお届けするにあたり、状況報告に関しては以下のインタビューに代えさせていただきますので、ご一読いただければ幸いと存じます。

前期(2014 年3月期)の業績

 売上高は、2013年3月期に比べて15.1%増の271億円となり、営業利益は同92.1%増の8億20百万円となりました。経常利益は、同51.3% 増の8億20百万円、当期純利益は同42.8%増の6億82百万円となりました。国内外で自動車向けの売上が伸びたことや原価低減の効果により、業績が回復しました。

今後に向けた手ごたえ

 円安基調のもとで、当社のお客様で生産を国内に戻すという企業も出てきています。かつ、この一年間で自動車市場を中心にエリア営業を展開した結果、お客様から新規口座の開設をたくさんいただきました。国内案件の引き合いも増えてきたので、今後の売上増加につながることが期待されています。また、海外におきましては、円安の影響もあり売上高は伸びましたが、逆に日本から海外への営業活動の不足を感じていますので、グローバルの営業戦略をいかに策定するかというのが当期の課題だと考えております。特に、中国やタイは政情が不安定であるため、今後はベトナムやその他の東南アジアに焦点をあてて、事業チャンスを逃すことのないようにしたいと考えております。

日本、アジアの状況

 中国やタイに関しては、当社・お客様のいずれも方向性を少し悩んでいた一年でした。ただ、ここへきて、今後ベトナム、インドネシア、フィリピンにシフトし、かつ日本回帰していく、という方向性がおぼろげに見えてきています。
 このような環境を見据えて、当社もアジア戦略を更に強化していこうと考え、今年4 月にグローバル事業部を立上げました。その下に、中国事業推進室と東南アジア事業推進室を設置し、それぞれの地域の勤務経験が豊富な社員を室長として担当させています。

その他海外の状況

 アジア以外では、欧州でイギリスの回復が順調です。欧州では医療分野で売上が増加しており、イギリス工場の設備スペースも医療向けに広げております。今後はここで得たノウハウを日本やアジアに展開し、この分野をより成長させていきたいと思います。また南米では、メキシコとブラジルに注目しています。自動車関連のお客様から「現地へ進出してほしい」という声もいただいております。将来に向けて、欧州担当と米州担当の役員にそれぞれの地域の事業戦略を検討させています。

今期の事業戦略と目標

 精密ばね事業では、従来の線ばね、板ばねに加え、今回優れた深絞り加工技術を持つ船橋電子鰍買収しました。(注:トピックス参照)これによって加工領域がほぼカバーできましたので、金属の総合メーカーとしてお客様に「どんな金属部品でも製造できます」と言うことが可能になりました。また、規格品ビジネスの強化を進め、商社やネット販売等を通じて新規の顧客を獲得し、特注品の受注につなげていく計画です。
 一方、もう一つの柱であるプラスチック事業でも自動車市場向けの販売が伸びています。自動車に関しては、特にベトナムで設備投資と工場拡大を積極的にやっていこうと考えております。かなり活気づいていますので、設備増強に加え、品質管理・生産管理をしっかりやることで、受注拡大を図っていきます。これらにより、中期目標としては、5年後に売上高500億円、営業利益50億円を目指します。

自動車市場向け

 円安の影響もあり、国内外で自動車向けの部品販売が伸びています。自動車の軽量化や電子化が進んできたことも当社にとって追い風になっています。これらに伴い、自動車に適した工場管理を目指す必要があり、国内では、現在北関東地区に自動車部品の専門工場を建設する計画を進めています。お客様の工場の近くで、機械の自動化が進んだスマートカンパニーを目指してまいります。夏までに候補地を選定して、今年度中をめどに新工場を建設する考えです。今期のスローガンである「倍速」をもって取り組んでいきます。

船橋電子鰍子会社化

 同社の金属プレスの細物超深絞り加工技術は、他社の追随を許さない世界一の技術力だと思っています。他方、同社では社員の高齢化が進み、このまま放置していては日本屈指の技術がなくなる心配がありました。こうした背景がある中で、同社の社風や企業文化、経営者の考え方に共感できるところが多く、今回「ぜひ一緒にやろう」ということになりました。船橋電子鰍フ世界一の技術を継承し、これに当社の営業ノウハウ、グローバル展開や資材購買力を組み合わせることで今後の売上増加が期待できるため、相乗効果が非常に楽しみです。
※関連リンク
船橋電子株式会社の子会社化に関するお知らせ

美しい作品の追求

 生産本部長時代に、製品の出来映えを図面との一致だけで判断しようとする中国の現地技術者に対して語ったことが、この言葉の原点になっています。製品が図面通りであれば良いのではなく、お客様が満足する使い勝手の良いものを追求する。その結果として製品が美しいものになるという製品の機能美が、私の目指す「美しい作品」です。図面通りを目指していた5年ほど前に比べて、社員の会話や幹部から上がってくる報告の中に「美しさ」という言葉が使われていて、社内でこのメッセージが周知されてきていることを実感しています。

株主還元策

 中期目標の達成に向けて、今後、業績の改善と安定した利益の確保に邁進してまいります。配当については、事業基盤の安定と拡充に備えるための内部留保充実とのバランスを取りつつ、確保した利益をしっかり還元していくことが経営者としての私の責任だと考えています。前期も業績の回復に伴い、配当を期初予想の1.5円から2円に引き上げさせていただきました。株主の皆様には引き続きご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

楽天市場でのオンラインショップ

 規格品ビジネスの戦略の一つとして、新規顧客の開拓を進めています。「他にはないe-コマースサイト」構築を目標としており、このサイトにアクセスすれば、ばね製品を何でも揃えることができ、かつ、ここでしか買えないものも用意します。これから徐々に、規格品のポータルサイトを充実させていく予定です。ばねという言葉で検索したら、このサイトに辿り着く。次にそこから派生する特注品に興味を持ってもらい、最終的には当社の顧客になっていただきたいと考えています。
※関連リンク
オンラインショップによる販売開始について

業績推移