注力している自動車向けや医療向けが伸びて売上ベースでは計画を上回りましたが、利益では未達となりました。株主の皆様には大変なご心配をおかけしてしまい深くお詫び申し上げます。背景にはメキシコやインドなど、まだ日系欧米系が進出していない地域での投資を加速したことなどがあります。先々有利に展開するために若干無理をしました。
自動車向けの引き合いは想定以上で2022年、2023年に向けた受注も多くきまっており、その中にはHEVやEVの基幹部品となるパワーコントロールユニットやインバーター、バッテリー向けも含まれています。特にバッテリーはEVだけではなく家電や工具、ウェアラブル向けにも使用されるので成長を期待しています。その他の注力分野である医療向けや規格品も順調です。
マンパワーの不足は大きな不安要素になっています。設備はお金をかければ直ぐ準備できますが、人材は育てるのに時間がかかりますし、また、少子化や好景気などの影響で採用活動も苦戦しています。さらに、人材問題で苦しんでいるのは日本だけではなく、むしろ海外の方が深刻です。メキシコやインドは競合が少なく有利な反面、ヘッドハンティングができず自分たちで一から育てなければなりません。今期13名の新卒者が入社しましたが、現場には戦力になるまで通常3年かかるところ1年で育てるように指示しています。
埼玉工場はようやく売上1億円/月を超え黒字化が見えてきました。新規受注案件が多く2020年にはスペースが足りなくなりますので工場の増設を決定しました。
旧船橋電子鰍フ千葉工場は海外メーカーから1モデル年間百万個以上の新規案件を数十件受けています。金型起工、量産化に時間がかかっており現在3モデル程度しか量産化できていませんが、これらが順調に進めば来期中の黒字化も可能です。メキシコ工場は人材教育も含めアメリカからの移管作業が期待どおりに進まず、当初計画より1年程度遅れています。
ですが、同地で需要が拡大する一方、競合はトランプ政権を警戒しメキシコ進出を保留していますので、多くの新規案件が当社に集中しています。技術系人材の不足がネックとなっていますが、日本からの支援を強化することなどにより、黒字化を目指しています。
2016年12月に買収したPT. Yamakou IndonesiaはPT.Advanex Precision Indonesiaと社名を変更しました。社内の管理体制や協力会社の刷新などに1年を要し、ようやく黒字化の見通しがたってきました。また、現地で需要の大きい線ばねやフォーミング加工の製造部門を立ち上げる計画です。
チェコ工場は来期初めから稼動する予定です。量産化まで時間のかかる自動車向けが中心の埼玉工場やメキシコ工場と違い精密向けが多いので黒字化は早いと思います。
インド工場は今期中に稼動する見通しで、線ばねが中心です。
1,000u強と小規模ですので1年目からの黒字化は可能と見ています。
ベトナム工場は2,000u弱の現工場から7,000uの新工場に引っ越します。稼動は今期後半を予定しており、拡張したスペースにはプレスを導入します。
これらの3つの新工場は中期経営計画における最後の大型投資ですので、以降は収益向上に注力できるようになるかと思います。
ロックワンは鉄道業界と建築業界からお墨付きや評価をいただきました。そのため現在、両業界にて採用が増えており、東京オリンピックの競技会場でも使われる予定です。
タングレス・インサートは飛行機や高速鉄道の軽量化や安全性向上のニーズなどにより生産が追いつかなくなるほど需要が伸びました。また、トピックスとしては2020年に打ち上げ予定の火星探査機にも搭載されることが挙げられます。規格品ビジネスは収益的にも有利ですので今後も注力していきます。
当社も意識して取り組んでいます。先日、SDGsを学ぶため、外部の講師の方に来社いただき、私も含め本社の幹部社員全員でセミナーを受けました。座学だけではなく、グループに分かれてゲーム方式で競いながら学ぶなどユニークなもので、SDGsの本質に触れることができました。当社の事業は元々SDGsと親和性が高いと認識していますので、いくつかの目標を掲げていきたいと存じます。
また、当社は創立記念日の11月22日に海外子会社も含め一斉に社会貢献活動を行っています。この株主通信にて紹介していますので是非ご覧下さい。
現在、マンパワーの問題が顕在化していますので、中期経営計画のネックにならないように対応していきます。今の当社の状況を例えるとまだツボミの段階です。株主の皆様には長い間耐えていただいていますが、我々がやってきたことの意味をご理解いただけるように、中期経営計画最終年の2023年に実をつけられるようにがんばっていきますので今後とも変わらぬご支援をお願いいたします。